平成26年度の市・府民税(個人住民税)の改正点
地方税法の改正による平成26年度の市・府民税(個人住民税)の主な改正点をお知らせします。
1.均等割の標準税率の特例(平成26年度~令和5年度までの10年間)
東日本大震災からの復興を図ることを目的として、東日本大震災復興基本法の第2条に定める基本理念に基づき、平成27年度までの間において実施する施策のうち全国的に、かつ、緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策に要する費用の財源を確保するため、臨時の措置として個人住民税の均等割の標準税率について地方税法の特例が定められました。
・特例の内容
市民税・府民税の均等割税率にそれぞれ500円が加算され、市・府民税(個人住民税)が年額1,000円引き上げられます。
均等割額 | 平成25年度まで |
平成26年度から令和5年度まで (10年間) |
市民税(年額) | 3,000円 | 3,500円 |
府民税(年額) | 1,000円 | 1,500円 |
合 計(年額) | 4,000円 | 5,000円 |
・特例の期間
平成26年度から令和5年度までの10年間
個人住民税の均等割額引上げに関するポスター(全国地方税務協議会) (PDFファイル: 1.1MB)
東日本大震災から復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律概要 (PDFファイル: 172.1KB)
「東日本大震災から復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」(平成23年法律第118号)【総務省】
2.給与所得控除の改正
給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除については、245万円の定額とすることとされました。
【給与所得控除額(給与等の収入金額が1,000万円超の場合)】
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | |
改定前 | 改定後 | |
1,000万円超~1,500万円以下 |
給与等の収入金額×5% +170万円 |
給与等の収入金額×5%+170万円 |
1,500万円超 | 245万円 |
※所得税については平成25年分より適用されます。
3.給与所得者の特定支出控除の改正
《特定支出範囲の拡大》
弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費、勤務必要経費【※上限65万円】(図書費、衣服費、交際費等)が特定支出に追加されました。
《適用判定の基準の見直し》
適用判定の基準が給与所得控除額の総額から給与所得控除額の2分の1に緩和されました。
※所得税は平成25年分より適用されます。
■給与所得者の特定支出控除について【国税庁】 (PDFファイル: 147.9KB)
4.年金所得者の寡婦(寡夫)控除に係る申告手続きの簡素化
平成26年度以降の市・府民税(個人住民税)より、寡婦(寡夫)控除の対象となる年金所得者は市・府民税(個人住民税)の申告をしなくても、年金支払者(日本年金機構など)から市へ送付される「公的年金等支払報告書」により寡婦(寡夫)控除の情報が把握できる仕組みとなるため、市・府民税(個人住民税)の申告書の提出が不要となります。
〔※適用を受けるためには、毎年、年金支払者(日本年金機構など)へ提出する「扶養親族等申告書」において寡婦(寡夫)の申告していただく必要があります。記載漏れがあると適用されませんので、市・府民税(個人住民税)の申告書の提出が必要となります。〕
※この改正は平成25年分の公的年金等について適用されます。
5.「ふるさと寄附金」税額控除の見直し
平成25年分の所得税から適用される復興特別所得税(所得税額の2.1%相当額)が課税されることに伴い、所得税において寄附金控除の適用を受けた場合、所得税額を課税標準とする復興特別所得税額も軽減され控除額が増加し、「ふるさと寄附金」に係る個人住民税の特例控除額については、復興特別所得税の軽減分だけ調整され控除額が減額されます。
所得税と住民税の控除額の合計は以前の計算方法で算出した場合と同じになり、全体の控除額には変更はありません。
◎個人住民税における「ふるさと寄附金」の寄附金税額控除額(【A】+【B】)
【A】基本控除額=(寄附金(※1)-2,000円)×10%(※2)(市民税6%・府民税4%)
※1 総所得金額等の30%が限度
※2 市が条例で指定する寄附金は市民税6%により算出
【B】特例控除額※3=(寄附金額-2,000円)×(90%-0~40%(所得税の限界税率)×2.1%)
※3 「ふるさと寄附金」にのみ適用され、個人住民税所得割額の1割を限度
◎所得税の寄附金控除額(【C】+【D】)
【C】寄附金控除対象額=(寄附金額-2,000円)×所得税率(0~40%)
【D】復興特別所得税控除額=【C】×復興特別所得税率(2.1%)
「ふるさと寄附金」による個人住民税及び所得税からの控除合計額は【A】+【B】+【C 】+【D】となります。
【■寄附金控除の計算(例1)】
給与収入700万円(所得税率20%、住民税所得割額350,000円)の人が、地方公共団体に5万円を寄附した場合
◎個人住民税における「ふるさと寄附金」の寄附金税額控除額〔【A】+【B】=38,200円〕
【A】基本控除額=(50,000円-2,000円)×10%=4,800円
【B】特例控除額=(50,000円-2,000円)×(90%-20%×1.021)=48,000円×0.6958=33,400円
◎所得税の寄附金控除額〔【C】+【D】=9,800円〕
【C】寄附金控除対象額=(50,000円-2,000円)×20%=9,600円
【D】復興特別所得税控除額=【C】9,600円×復興特別所得税率(2.1%)=200円
合計の控除額は(A)+(B)+(C)+(D)=48,000円となります。(※ふるさと寄附金額との差額の自己負担分は50,000円(寄附金額)-48,000円(控除額)=2,000円)
【■寄附金控除の計算(例2)】
給与収入700万円(所得税率20%、住民税所得割額350,000円)の人が、地方公共団体に8万円を寄附した場合
◎個人住民税における「ふるさと寄附金」の寄附金税額控除額〔【A】+【B】=42,800円〕
【A】基本控除額=(80,000円-2,000円)×10%=7,800円
【B】特例控除額=(80,000円-2,000円)×(90%-20%×1.021)=78,000円×0.6958=54,300円となりますが、上限額が住民税所得割額(350,000円)の1割となりますので350,000×0.1=35,000円となります。
◎所得税の寄附金控除額〔【C】+【D】=15,900円〕
【C】寄附金控除対象額=(80,000円-2,000円)×20%=15,600円
【D】復興特別所得税控除額=【C】15,600円×復興特別所得税率(2.1%)=300円
合計の控除額は(A)+(B)+(C)+(D)=58,700円となります。(※ふるさと寄附金額との差額の自己負担分は80,000円(寄附金額)-58,700円(控除額)=21,300円)
6. 白色申告者の記帳・帳簿等の保存制度の変更
平成26年1月から記帳・帳簿等の保存制度の対象者が拡大されます。
白色申告者の記帳・帳簿等の保存制度の変更(市・府民税の申告の方も対象)
7.給与支払報告書及び公的年金等支払報告書のeLTAX・光ディスク等による提出の義務化
税制改正により、平成26年1月1日以降の提出分より、国税において給与及び公的年金等に係る源泉徴収票をe-TAX【電子申告】または光ディスク等により税務署へ提出することが義務付けられた支払者は、給与支払報告書及び公的年金等支払報告書についてもeLTAX(エルタックス)【電子申告】または光ディスク等により提出することが義務化されました。
更新日:2021年08月27日