文化的景観「日根荘大木の農村景観」
文化的(ぶんかてき)景観(けいかん)「日根(ひねの)荘(しょう)大木(おおぎ)の農村(のうそん)景観(けいかん)」について
文化的(ぶんかてき)景観(けいかん)「日根(ひねの)荘(しょう)大木(おおぎ)の農村(のうそん)景観(けいかん)」について大木地区は日根荘のころ、土丸地区と合わせて入山田村(いりやまだむら)と呼ばれ、領主の九条政基(くじょうまさもと)が1501年から4年間滞在し、『政基公旅引付(まさもとこうたびひきつけ)』を記した舞台になりました。現在の風景を構成するため池や水路、農地、寺社堂などは、その多くが中世の日根荘に由来するもので、地域の人びとが長い歴史の中でその時代や暮らしの変化に合わせながら受け継いできました。豊かな景観が広がり歴史的変遷をたどることができる、重要な地域であることから、本市の貴重な文化遺産として、次の世代へ受け継いでいきたいと考えています。 平成25年10月17日に、大阪府初の重要文化的景観に選定されました。今後も地域の資産として保護と活用の取り組みを進めていく予定です。








文化的景観について
文化的景観は、地域の気候や風土に合わせて人びとが日常の暮らしや生業の中で創りあげてきた風景で、平成16年の文化財保護法の改正で文化財に位置付けられました。 重要文化的景観は景観法に定める景観計画区域や景観地区内にある文化的景観の中から、特に重要なものを国が重要文化的景観として選定するものです。平成25年10月17日に「日根荘大木の農村景観」が選定されました。平成30年3月末現在、全国で61件が選定されています。
これまでの取り組み
平成17年度より現地調査に着手し、平成20年3月に「日根荘地域の文化的景観(大木・土丸地区)調査報告書」を刊行、平成25年1月に「文化的景観日根荘の里保存活用計画書」(大木・土丸編)を作成しました。 これらの取り組みを経て、現在の選定に至っております。
大木地区の位置



「日根荘大木の農村景観」の特性
1、和泉山脈の自然景観(人と自然との関わりにより創出された景観)
大木地区の盆地周辺は、和泉山脈の三峰山・灯明ケ岳(とうみょうがたけ)・高城山(たかしろやま)などと、雨山(あめやま)・土丸城山(つちまるじょうやま)などが遠景近景の山並みを構成しています。谷筋には、ため池が設けられ希少種であるウキゴリ、大木地区を貫流する樫井川にはアカザなどの魚類、ホタル類などの生き物が多数生息しています。周辺の山林は、建築用材や炭焼き、中世からの名産品であったヤマモモなどが山の恵みとして活用されてきました。大木地区の豊かな自然環境は、地域の暮らしや生業、信仰など人との関わりにより創られてきました。

大木周辺の山並み

ウキゴリ
2、和泉地域の農村景観と日根荘の時代から受け継がれた土地利用(気候風土に合わせて日根荘から受け継がれた土地利用)
山林・農地・集落などの土地利用は、地形を活かして造られた水系や旧街道が根幹となって構成されています。ため池や用水路などの水系は、中世荘園日根荘の時代からその機能が受け継がれてきたことが、史料や現地調査によって明らかになっています。現在みられる土地利用は、中世から受け継がれてきた、荘園故地として貴重な文化的景観を構成しています。
水間道
ため池
3、暮らし の中に織り込まれる日根荘(暮らしの中に織り込まれた歴史)
大木地区は、日根荘の領主九条政基が京都から下向し、『政基公旅引付』を記した場所で、『旅引付』は中世の村の様子を記した貴重な史料となっています。盆の風流や芸能の舞台でもあった火走神社(ひばしりじんじゃ)、修験道の寺院で雨乞いや政基も滞在した犬鳴山七宝瀧寺(いぬなきさんしっぽうりゅうじ)、村人たちの手により守られてきたため池や用水路、寺社堂、情報や流通の要衝である粉河街道(こかわかいどう)や水間道(みずまみち)など、日記に記されたエピソードの舞台が現在も暮らしや生業の中でその機能を維持しながら受け継がれています。
犬鳴山七宝瀧寺
上大木の様子
4、好ましい 景観を受け継ぐ伝統的な暮らし(景観を受け継ぐ主体の伝統的な暮らし)
稲作主体の農業や林業に加え、近代以降は織物などの地場産業も行われてきました。地形を効果的に利用するため、石積みをした屋敷地が多く見られ、茅葺民家やつし二階・平屋などの瓦葺き屋根の集合が特徴的な集落です。またツノやキバと呼ばれる破風板(はふいた)を押さえる材や、破風を多く設けているのも特徴的です。また町内会や長生会、講(こう)などの組織の活動が盛んで、地域の祭礼・行事など地域の伝統文化を次の世代へ継承する取り組みも行われています。

石積みと屋敷地
中大木の集落の様子
≪「日根荘大木の農村景観」へのアクセス≫
※集落内には駐車場がございません。公共交通機関をご利用ください。
南海線「泉佐野」駅もしくはJR阪和線「日根野」駅より、南海ウィングバス723系統(犬鳴山行き)乗車 円満寺・長福寺跡へは「下大木」バス停下車。 火走神社・毘沙門堂へは「中大木」バス停下車。 蓮華寺・香積寺跡へは「上大木」バス停下車。 犬鳴山七宝瀧寺・犬鳴山温泉へは「犬鳴山」バス停下車。
この記事に関するお問い合わせ先
文化財保護課 <e-mail:bunkazai@city.izumisano.lg.jp>
住所:〒598-0056 泉佐野市元町4-5 旧朝日湯内
電話番号:072-447-6766
FAX番号:072-469-0577
更新日:2024年06月05日